2012年1月1日日曜日

ブログ移転のお知らせ

本ブログは、

「リアリズムを学ぶ」
http://realismstudies.blogspot.com/

に移転しました。

今後ともどうぞよろしくお願いします。

2011年6月20日月曜日

リアリズムを読む「覇権支配システムー力の均衡と世界の民主化ー」(吉田亮太著、ユニオンプレス刊)

奥山真司氏のブログやAmazonのレビューで「攻撃的」と評されていた吉田亮太氏のリアリズム論「覇権支配システムー力の均衡と世界の民主化ー」を早速購読した。

読後の印象としては、吉田氏のリアリズム論は決して「攻撃的」なものではなく、その論調とは逆に、非常にクールかつスマートなもののように感じた。

吉田氏の結論を私なりに換言すれば、「リアリズムにとっては、米中露という大国間のバランス・オブ・パワーを適切に管理することこそが新たな世界大戦を予防し現在及び将来の世界平和を維持するために最も重要なことであり、この目的の前ではリベラリズムが主張する自由民主主義の発展や人道問題などは『コーヒーショップの泡』のような瑣末事に過ぎない。しかし、民主主義国の覇権国であるアメリカはその政体の制約により国家のパワーを自由に行使することが出来ず、そのことが非民主主義国である中露との勢力均衡を図る上で大きな弱点となっている。したがって、アメリカをはじめとした民主主義国を制約から解き放ち、国家のパワーを自由に行使できる存在に変化させなければ、世界のバランス・オブ・パワーは危険な状態に陥るであろう」というものであり、そのために必要なこととして吉田氏は「世界の民主化にノーを」唱えよと主張している。

個人的には本書の「第9章 世界の民主化にノーを」が最も刺激的な論考であったものの、「第10章 「新しい中世」の中で」における「新しい古代」や「新しい近代」といったアイディアは未だ生煮えの議論であるように感じた。吉田氏にとっても「リアリズムの現代的展開」に関する議論は現在進行中のものであるのだろう。

本書で示された吉田氏の認識を踏まえれば、今後も日本は覇権国アメリカの庇護の下で東アジアにおける勢力均衡に汲々とするほかない立場であるが、個人的には、バランス・オブ・パワーの維持ではなく劇的変化を企図する中露の攻勢を前にして、日本は果たしてそれだけで有効に対処することが出来るのか疑問に感じるところもある。

いずれにせよ、日本リアリズム界(!?)に突如として彗星の如く現れた吉田亮太氏の激辛リアリズムを本書で学ぶことは、日本のリアリストにとって義務教育に等しいと断言できる。

本年度リアリズム新人賞確定です。

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「覇権支配システムー力の均衡と世界の民主化ー」(吉田亮太著、ユニオンプレス刊)

目次
はじめに
まえがき 「冷戦思考」批判を超えて
第1章 議論の諸前提
第2章 覇権とは何か
第3章 ハードパワー
第4章 ソフトパワー
第5章 力の評価と外交について
第6章 国際法廷
第7章 覇権に対応する
第8章 各地域のケース
第9章 世界の民主化にノーを
第10章 「新しい中世」の中で
あとがき 日本における政治論の制約と本書の立場について
索引

2011年6月12日日曜日

あの人に迫る「星稜高校野球部総監督 山下智茂」

平成23年6月10日付け中日新聞夕刊紙面「あの人に迫る」より、星稜高校野球部の山下智茂総監督の金言を抜粋

・感謝のない人間には幸運がこない。そう、その場ですぐに教えられる指導者でなきゃいかん。

・若い指導者には魂をぶつけろ、対話をしろと言うんや。僕はそのために今も毎日ジムに二時間通う。

・僕自身、大学時代は補欠だったから「花よりも花を咲かせる土になれ」という思いがある。レギュラーは九人だけど、部員は数十人いるよね。部員全員が星稜の野球をやってよかった、山下に習ってよかったという野球でなきゃだめなんだ。その子たちが卒業し、三十年、四十年たってから、よかったといえる野球をやりたいんや。

・まず、自分の器を大きくしようと。自分が変わらないと、選手も変わらない。見つけたのは、選手を認めること。自分の目線を下げて、勝つ野球を捨てて、育てる野球、心の野球を始めて、また面白くなった。

・「笑顔の練習もされたと聞きました」>うちの玄関に鏡がある。それを毎日、見るんや。朝行く前と帰ってから。十五分から二十分くらい、にらめっこする。これはあかんと思ったら、もう一度シャワーを浴び、これで生徒が納得するかなって。

・帰った後も一日を満足したかと問い掛ける。だめだったらグラウンドに戻って整備した。鏡と向き合う時間はものすごく大事。そうすれば生徒の顔色を見ただけで、悩みも分かるようになる。

・指導者はどこでデビューさせてやるか、どんな舞台をつくってやれるかが大事なんだ。

・キャッチボールにも意味がある。野球も人生も同じ、キャッチボールがうまくなれば人生もうまくいく。相手の胸元に投げることは思いやり。思いやりのない人間は商売もうまくいかない。ボールがそれれば、足を一歩動かして胸元で取る。相手のミスをミスに見せない。後ろにそれれば取りに行く。これがマナー。「ナイスボール」と褒めるのは相手を尊重する。

・若い監督は技術、持論はすごい。だけど、ハートが足りない。心がない人間がいくら教えても選手は育たない。目線を下げて魂と魂のぶつかり合いというか、気と気を映し合いながら、そこから互いに学ぶもんや。

・一流の監督は謙虚。話をしてもしっかりメモを取る。大監督がこんなことするのか、というところまでやる。

・最近は東北、北海道が強いけど、心を教えている。スパイク、グローブをきっちり並べたり、すきがない。心を教えているチームは品格もあり、周りも応援してくれるんだ。

2011年6月5日日曜日

読書録>「自主防衛を急げ!」日下公人、伊藤貫(李白社)

「リアリストのバランス・オブ・パワー理論に従えば、日本の核武装独立は必然である」とする、日下及び伊藤両氏による対談本。

2011年6月4日土曜日

ブログ開設

本日、ブログ「リアリズムをネットで学ぶ」を開設。

当分の間は、本ブログを個人的なメモ代わりとして試験運用する予定。

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